愛着とは、慣れ親しんでいる人や物に心を惹かれることを言います。
人との信頼や絆である、という表現もされていますね。
子供に特化した話だと、親に対する情緒的な結びつきと表現できるでしょう。
(親の後を付いてくる、抱っこをせがむ、離れないなど)
これは人間に限った話ではなくて、基本的に動物は同じ行動をとっています。
巣立ちの時が来るまでは、決して親から離れることはありません。
今回のネタは、親の子供に対する愛着が、その子供に及ぼす影響について。
親側に特化した話だと、子供に対する愛情の注ぎ方という表現になるでしょう。
これはダメジロー論ではなく、学者様の実験データを書いています。
※この記事ははアダルトチルドレンに向けたものです。
親に対する怒りを蓄積するのではなく、自分を知る(現状を理解)ために読んでいただきたい。
今は大人だと思うので、このメカニズムを学び、自身のステップアップに繋げてください。
やっと今、『安定した愛着』が注目されている
学者のテーマだったり、研究(検証)対象になったりして、
徐々にそのメカニズムが解明されています。教育でも、愛着が注目されていますね。
子供の自己肯定感を育むには、親からの揺るぎない愛着が必要とされる。 というもの。
自己肯定感とは、自分を価値のある人間だと肯定すること‼︎
みたいな捉え方だと思うんですが、この記事で言いたいことのニュアンスとは少し違う。
ここでは、親からの愛着を受けて育った子供と、適切に受けられずに育った子供とでは、
その後の人生で生き抜く力に違いがでるということだ。
つまり極論的に言えば、愛着とは生き抜く力を育むということになる。
まぁ、結果的には自己肯定感にも影響することに違いないが、
一括りで自己肯定感があれば生き抜ける。とは言いきれないでしょうね…。
1960年代に、【ストレンジ・シチュエーション法】という実験を行っていたようです。
これは、母親と子供(1歳)の関係を調査するもので、子供の行動パターンを観察しています。
簡単に言えば、子供を部屋に残して母親は離れる。 強制的に安心できない環境にする。
母親はおらず、周囲には知らない人がいるか、自分が取り残された時の行動を見るのだ。
・母親が自分から離れていくストレスに、子供はどのような反応をするのか?
・母親が自分の元に戻ってきた時に、子供はどのような反応をするのか?
上記を観察することにより、
子供と母親の関係性や繋がりなど、その子供が持つ愛着システムを理解することができたらしい。
その結果『母親と子供が再会する場面』に、その関係性が現れることが判明したようだ。
つまり、
・自分の元に戻ってきた母親を、子供がどう迎えるか?
・子供はどのくらいで落ち着きを取り戻すのか?
・子供はどのくらいで落ち着きを取り戻し、オモチャ遊びを開始するのか?
※同じ実験は父親でも行われ、同様の結果になったもようです。
これらの結果から、両親と子供の関係の評価と言えるでしょう。
実験の結論から言えば、1歳の子供であっても愛着は育まれているのだ。
(ここで言う愛着とは、安定した愛着を言います。逆に不安定な愛着は好ましくない。)
愛着が育まれた子供=母親が部屋を出ていくと、はっきりと寂しそうな様子を見せる。
母親が戻ってくるとうれしそうに迎え、すぐに落ち着いて、オモチャ遊びなどの活動に戻る。
※両親の子供に対する接し方で、子供の愛着を育くむことができる。
繋がりを求める子供の気持ちに、母親が敏感に反応して子供の合図を読み取っている。
子供の要求に、いつも応じていることが調査でわかっているのだ。
つまり、親の要因が大きい。
親は子供の合図を受け取ると、子どもの内面【その行動の奥にある隠れた心】を把握し、
その合図が何を意味しているかを理解してから、タイミングよく対応しているのだ。
敏感でありながら、効果的な接し方をしているということになる。
これは、動物という人間の子供が要求する喜怒哀楽という感情に対して、
適切に対応していると言えるのではないでしょうか?
ではここで、愛着に育まれた子供は世にどれほどいるのだろうか?
実験をした研究者によれば、約2/3の子供は親との間に安定した愛着を築いていたようです。
そういう子供には完璧な親(それがどういう意味であれ)がいるわけではないのですが、
必要な時には常に寄り添ってくれる親がいる。それが安定した愛着を育んでいるとのこと。
※逆の言い方をすれば、世の中の約1/3はイマイチってことさ。
単純に1/3は確率が高い。たまたまそこに、自分の親が入っていただけのこと…。
『不安定な愛着』による行動パターン
ここでは、親の愛着が不足している場合に、子供が示す行動パターンを記載していきます。
(同じく、親の愛情が一貫していない場合、その子供に現れる兆候も記載)
まぁ、親が子供に必要な愛着を理解していないってこと。
又は、理解していてもできない、やらない。ってのもあるでしょうけどね…。
◉不安定な愛着を受けた子の3つの特徴
先ほど書いたように、残り1/3の子供は親との間に「不安定型愛着」を形成していて、
それは3つのグループに分けられるようだ。
(ここで注意するポイントがある。この分類は親子関係と、その関係に子供がどう適応して
いるかを表すもので、子供そのものを評価した結果ではないということ。)
①親を無視する回避型愛着
不安定型愛着を示す子供は、回避型愛着を見せる。
母親が立ち去って1人で残されると、部屋のオモチャにひたすら熱中する。
それどころか、母親がいなくなってもほとんど悲しい様子や動揺したそぶりを見せず、
母親が戻っても無視したり、避けたりするタイプもいる。
このタイプの家庭を観察したところ、その親は子供の合図や要求に無関心で
鈍感だったという結果がでている。そういう親達は、子供の身体面の要求に応じて
オモチャという遊び道具を与えているが、感情面の要求は無視しているようだ。
その結果、子供は心(内)で苦痛を感じていても、表現(外)すべき愛着の要求を最小限にする
スキルを学んでしまう。自分の心の感情を〝地下に潜らせて〟しまうらしい。
つまり子供は、基本的な人間関係の中での要求が満たされないことに順応しているのだ。
回避型愛着を形成した子供の場合、苦痛の合図さえ親に無視されるてしまう。
そうすると子供は、自分の苦しみには関心を向けてもらえないのだと考える。
つまり、騒いで不満を表現しないほうが良い対応をしてもらえると察するようになる。
このタイプの子供は『行動回避』によって、親との関係に順応する。
親が自分の側にいなくても問題無いと伝えることで、親の無関心に対処しているのだ。
※これは傾向を観察したものであり、必ず一致するとは表現されていないものです。
中には片親とは回避型愛着、もう片親には安定型愛着とかあるみたいですよ。
②落ち着きのない葛藤型愛着(不安定型愛着)
このタイプの子供は、いつもどんな時も心が落ち着かない。
葛藤型愛着を示す子供は、母親がいなくなった時も、戻ってきた時も、なかなか
落ち着かせることができない。安定型愛着を示す子のようにオモチャ遊びに戻ることもなく、
常に心配そうにしている。または必死に親にしがみつく行動をとる。
そこには、愛情深い世話や慰めから生まれる信頼が欠けているように見え、
母親と身体的に触れ合っても子供は安心感をいだけていない。
こういう子供の親は、一貫して細やかな愛情を注ぐわけでもなければ、
一貫して無関心で鈍感なわけでもない。
ここで問題となるのは、親の一貫性の無さだ。
親は細やかで敏感な反応をすることもあれば、しないこともある。
その結果、親を信頼できるか? について、
子供の心に大きな不安と葛藤を引き起こすのだ。
親が一貫性のない対応をしてきたことにより、子供の心は混乱している。
そこへ親が戻ってくると、不安定な気持ちになるようです。
葛藤型愛着を示す子供は、自分が目を離すと親が立ち去ってしまうかもしれないと思い、その
注意をそらすことを非常に恐れる。そのような形で、愛着システムが最大限に活性化されている。
③動揺と支離滅裂の混乱型愛着
これは幼ながらに、最も苦痛を抱えているタイプと言える。
混乱型愛着は、母親が部屋に戻ったとき、どう反応すればいいのかをうまく決められない。
どうしたらいいのか分からないため、パニックを起こす。
その結果、混乱して動揺、支離滅裂な行動を示すタイプだ。
親が戻ってくる→怖がっているようなそぶりを見せる→自分から親に近づく→
また離れる→床に倒れこんで泣く→今度は拒絶する。 といった具合だ。
場合によっては、親にしがみつきながら、同時に身をそらすことすらあるようです。
子どもが混乱型愛着を示すようになるのは、親が子供を怯えさせる存在だったり、
親自身が怯えていたりするせいで、子供が極度の愛情不足を感じている場合になる。
親が悪い意味で感情的である、ヒステリックを起こす、大声を出して暴れる、
殻に閉じこもっているなど、親そのものの行動が混乱と動揺、支離滅裂でできているのだ。
このタイプというのは、細やかな親、あるいは無関心な親、一貫性のない親に対応して
一定パターンの愛着を形成した子供とは大きく違いがある。
自分がいつ、また、親に怖い目に遭わされるか分からないのだ。
そんな状態では、子供が効果的な対処法を見出せるはずがないだろう…。
まとめ
冒頭で書いたように、この記事て言う愛着とは人間に対する信頼や絆です。
相手を大事に思う気持ちに支えられた絆と表現しているサイトもあります。
子供は親と接しながら、愛着というシステムを学んでいくのだ。
アダルトチルドレンは対人関係を苦手とする人が多いですね。
それは、対人関係の基礎となる安定した愛着を育んでいないからではないでしょうか?
もちろん、それだけで全てが決まるわけではないと思いますが…。
親が育児をする中で、子供に教えなければならないことは沢山あります。
その最大の目的は、子供が人生という荒波の中で生き抜いていけるようにすることですよね?
勉強が出来て、良い会社に入れば人生は安泰である…。
上記の価値観は、都合の良い所しか見えていない親の妄想にすぎません。
収入が安定していることに越したことはありませんが、それ以前に人間社会に属している。
人間関係に疲弊していては、そこには安心も安定も、その先も無いということになります。
親としての大切な役割は、子供に挫折や失敗を経験させないようにすることではありません。
人生の荒波を乗り切るために必要なツールを教え、情緒面での立ち直る力を与え、
その荒波を子供と共に歩いて見せることだ。
安定した愛着を育んでいれば、挫折しそうな時には命綱と同じく、最後の砦のように心強い。
命綱をしていても事故は防げないが、落下した時のダメージは大きく変わってくるはずだ。
又、愛着を養った子供でも、成長に伴う沢山の苦痛やショックを回避できるわけではありません。
自分だけ仲間から遊びに誘われなければ、例外なく仲間外れにされたような気分になるでしょう。
初恋に敗れ、心が張り裂けそうな日もあるでしょう。
安定した愛着があっても、不利な状況や感情から子供を遠ざけることはできない。
子供は苦痛だけでなく、苛立ちや不満、失望や絶望なども感じるだろう。
でも、それが人生というもの。そして、その人生というものを正しく理解することができる。
目の前の高い壁から落下しても、大怪我をしないための命綱を装着していれば、
自我を見失うことなく、つらい胸の痛みも乗り越えられるはずだ。それでは死なないしね。
そんなんじゃ死なないと分かっているのだから、そこで挫折しても立ち上がる。
辛く困難な問題でも、前を向いて生きる力を育むのだ。
逆に苦労する子供もいる。それは命綱を持たず、常に身一つで崖を登っているようなもの。
必要なツールを知らず、情緒のコントロールを知らず、登り方も知らないからである…。
親は子供に降りかかる全ての災いを防ぐことはできない。
しかし、災いの対処法、災いからの避難など、教えなければならないことがある。
人生とは荒波であり、いつの日か自分で荒波に立ち向かう時がくるからだ。
安定した愛着を育めれば、常に全力で泳ぐのではなく、クロールや平泳ぎ、立ち泳ぎなど、
その場の乗り切り方を学び、選択できるようになるらしい。
※ダメジロー論ではありませんが、表現はダメジロー要約になっています。 逆にわかり辛い?
大切なのは社会で通用するスキル(能力)よりも、先に土台を築くことにある。
医者やパイロット、弁護士を目指すのも、子供の自由です。
であるならば、なおさら親子関係にどう取り組むか? の方がはるかに大切だ。
そのように育った子供は、学校や人間関係、人生で成功する可能性がはるかに高いらしい。
では結局のところ、
子供の中に、安定した愛着を育むにはどうすればいいのか?
・ただ、寄り添えばいいとのことだ。
・必ず親でなくてもよく、一人でも大人が傍におり、感情面で支えになっている必要がある。
子供が健全に育つ機会を与えたいなら、ただ安全で、ただ見守られ、
なだめられ、心から安心できると、感じさせてあげればいいのだとか。
つまり、その子供をありのままに受け入れ、安心させてやることなのだ。
安定した愛着によって、良好な結果が生まれるメカニズムがある。
・親が寄り添っていると、子供は生活全般で自分が安全だという安心感を抱く。
・社会を『自分の居場所』と感じながら生きているので、
物事が自分の思い通りにいかないことがあっても、自分は大丈夫だと思える。
・子供が障害や挫折にぶつかったとき、安定した愛着は緩衝材のような働きをする。
あなたがもし、『安定した愛着』を育んでおらず、人間関係で苦しんでいるなら…。
今から、そのメカニズムを学ぶ必要がある。それは何か? を自分なりに理解するべきだ。
子供の時に学べなかっただけなので、大人になった今から少しづつ学べばいい。
つまり人間の感情を学び、自分なりに理解することが望ましい。
そして、自分の糧にすれば、また一歩前進することができるだろう。